平成17年9月29日 |

今般、福岡銀行(頭取 谷 正明)と商工中金(理事長 江崎 格)は、連携して、福岡県の後記お客様に対して、我が国初の動産登記制度を活用したシンジケートローン型アセット・ベースト・レンディング(以下、「ABL」)に取り組むこととしました(実行予定日10月3日・月曜日)。 |
※ | ABLとは 在庫が販売され売掛金となり、売掛金が回収され流動預金となる「事業のライフサイクル」に着目し、在庫・売掛金・流動預金を一体として担保取得するとともに一定の極度融資枠を設定するスキーム(流動資産一体担保型融資) |

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福岡銀行と商工中金の取り組むABLは、借入企業の事業フロー、いわば「事業のライフサイクル」を一体として把握し、かつ、原則としてこれのみを貸付の主要な引当てとするものであり、借入企業の不動産、機械設備もしくは有価証券を担保として徴求したり、または代表者の個人の信用力に過度に依存したりすることを想定していません。その意味で福岡銀行と商工中金のABLは、債権譲渡担保や動産譲渡担保をいわゆる「添え担保」と捉えてきた従来型の融資実務とは、根本的な発想を異にする取り組みであり、中小企業の資金調達の多様化に大きく寄与するものです。 なお、本件は経済産業省のABL普及促進事業のモデル事業として認定されております。 |

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1. | 中小企業金融において、ABLとしてシンジケートを組む先駆的な取組みであること。 |
2. | 上記動産登記制度活用の第1号となる見込みであること。 |
3. | 適切なコベナンツによる債権者の立場からのガバナンスを発揮するものであること。 |
4. | 停止条件付連帯保証として、連帯保証債務の発生を一定のコベナンツ違反の場合に限定し、経営者として誠実に事業を遂行し、借入金の返済に努力していると認められる限り、(たとえ借入企業の事業及び財務状況が結果的に悪化したとしても)経営者の個人責任を追及しない(連帯保証責任を負わせない)方式を採用していること。 |
平成17年3月29日には、平成15年3月28日に金融庁から公表された「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」を承継する「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17〜18年度)」が金融庁より公表され、そこにおいても「動産・債権譲渡担保融資」が具体的取組み事例として紹介されています。 福岡銀行と商工中金では、本件取り組みが「呼び水」となり、(1)事業からのキャッシュフローを重視し、不動産担保・個人保証に過度に依存しない融資の促進、(2)中小企業の資金調達手法の多様化を図ること、また、(3)地域金融機関をはじめとするシンジケート・ローンアレンジの推進にも資することを期待しています。 また、これにより活力溢れる中小企業がより一層発展し、不動産担保・個人保証に依存しない融資慣行が定着することを願っております。 |
*動産登記制度とは 不動産、指名債権の既往制度に続き、10月3日〈月〉からスタートする制度。ポイントとしては、動産の譲渡(主として担保差入)を登記することで当該譲渡を第三者に対抗できるようになりました。動産を担保とした融資や動産の流動化による資金調達において利用されることが見込まれています。 (1)登記の主体・・・法人のみ (2)登記の対象・・・個別の動産も、原材料や在庫のような集合動産も登記可能 (3)登記の効力・・・民法178条の引渡しがあったものとみなされ、第三者対抗可能 (4)登記事項の開示・・・概要のみであれば、何人に対しても開示。(詳細情報には制限あり) |
*モデル事業とは 経済産業省が、10月3日にスタートする動産公示制度の資金調達への活用や、動産・債権等の事業に直結する資産を活用した融資制度(ABL)の促進を課題とし、平成17年度に「ABLの普及促進支援事業(予算事業)」を実施するもの。すなわち、経済産業省がABLの取り組みについての調査研究を行うことで、同省が開催する研究会等にその内容が反映され、議論されることにより、広く社会全体の利益に資する価値があると認定されたものです。 |
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